感じたのは、日本酒づくりの壮大さと、そこに懸ける人々の想い。
いよいよ酒づくりに挑戦です。
「若者に日本酒のほんとのうまさを伝えたい!」というユメをもった、うえっちさん。
飲みやすいものが少なかったり、そのイメージからか、若者がすすんで飲むことは少なく、どんどん敬遠されている現状がある日本酒。
そんな日本酒業界を変えていこう!と立ち上がった日本酒大好きなうえっちさんが考えたのは、
「19歳の子たちが、実際に田植え、稲刈り、酒づくりを体験し、商品となるまでをプロデュース!翌年の成人式に、生まれて初めて口にするお酒を、自分たちがプロデュースした日本酒にして、みんなで乾杯したい!」という企画。
これまで京都府与謝郡伊根町にて向井酒造株式会社様のご協力をいただき、6月に田植え、10月に稲刈りを実施してきました。
▼田植えのレポートはコチラ。
▼稲刈りのレポートはコチラ。
さぁいよいよです!11月27日(土)〜28日(日)、ワクワクしながら酒づくりにいってきましたよ!
<ユメコラボ!>
・向井酒造株式会社様(日本酒プロデュース企画・協働開発協力)
まだ暗い午前5:00の京都。11月末の朝の寒さは、長時間外にいると凍えてしまう寒さ。でもこの寒さが日本酒づくりには適しているそうです。お酒づくりは、日の出前の早朝にするイメージがありますが、そういう理由があったのですね。
日本酒は、種類によって、つくりに要する期間、お米の種類、製造工程が異なってきます。今回は主に、向井酒造で製造している「京の春」という日本酒づくりの体験や見学をさせていただきました。
【洗米】
麹(こうじ:米、麦、大豆などの穀物や、精白するときに出来た糠(ぬか)などに、麹菌を繁殖させたもの。日本酒、味噌、食酢、漬物、醤油など、発酵食品を製造するときに用います。)をつくるために、精白したお米を洗米します。
【浸漬(しんせき)】
洗われたお米は、浸漬(しんせき)という工程にうつされます。お米は洗米で約10%〜20%ほどの水分を吸収しますが、次の「蒸す」工程にうつるには、もっと水分が必要です。そこで、お米に水分を吸収させるため水に浸して吸水させます。つくる日本酒の種類によって、浸漬の時間は変動します。中には、秒単位で浸漬の時間を計る日本酒もあり、それほどにまで微妙な技が必要とされることもあるそうです!
【蒸す】
次は大きな蒸し器で、お米を蒸します。この時蒸されたお米の重さは約650キログラム。こんなに大量のお米、見たことがありません!あたりは蒸気で湯気があがり、カメラのレンズやメガネが曇ってしまいました(笑)。そしてお米のいいにおい!この内、105キログラムの蒸し米が、「麹米(こうじまい)」づくりに使われ、残りの蒸し米は後の工程に使われます。
【製麹(せいきく)】
麹米に使われる蒸したお米は、冷やされながら平に並べられ、種麹(たねこうじ:米を原料に麹菌を培養し、胞子を十分に着生させた後、乾燥させたもの)が振りかけられます。職人さんの技ともいうべき、見事な振りさばき!!ベルトにのって運ばれてくる蒸し米に、まんべんなく種麹を振っていきます。
(種麹・お米に麹菌が繁殖したものです。)
種麹を振りかけた蒸し米は、麹菌を繁殖させやすい湿度・温度に定められた麹室(こうじむろ)に運ばれます。105キログラムの蒸し米を運ぶのに、小分けにした蒸し米を担いで何度も往復します。
麹室に運ばれたお米は、麹菌が繁殖しやすいように何度も人の手が加えられます。現代では、この作業は機械を使う場合もあるのですが、向井酒造では、昔ながらの手作業の製法をずっと続けておられます。
麹米に触るのは初めてのユメニスト・うえっちさん。「楽しい!楽しい!」と、一生懸命麹米に触れていました。麹室に入れられた蒸し米は、まんべんなく麹菌を行き渡らせ、布や毛布やカバーを掛けて寝かせる工程と、再度手入れをする工程を繰り返し、丹精掛けて麹菌を繁殖させていきます。このように、麹米をつくる一連の工程を製麹(せいきく)と言います。
向井酒造の女性杜氏(とうじ)・久仁子さんの旦那さんは、みんなに「長さん」と呼ばれ親しまれています。酒づくりの全ての工程に携わる職人さんです。
「機械を導入すれば、麹米の温度を何度も計ったりする時なんか、設定した温度になればベルが鳴って便利なんだけど、そういう機械を入れちゃうとお米に触れる回数が減ってしまうでしょ。僕たちとしては、やっぱり人が触れて、人の手で丁寧につくっていきたい。」
そんな日本酒づくりへの想いや姿勢を、真剣に語ってくださいました。
【醪(もろみ)】
醪(もろみ)づくりは、日本酒の本格的な発酵の工程作業です。酵母の働きにより、糖をアルコールと炭酸ガスに分解する段階です。酒蔵の中にある大きな樽に、酵母・麹米・蒸し米・水などを加えていきます。樽の中では、徐々に酵母が育っていきますが、一気に麹米などを加えていくと酵母の力が弱まって発酵しなくなってしまいます。そこで3回にわけて麹米などを加えていきます。1回目に麹米・蒸し米・水を加える工程を「初添え(はつぞえ)、2回目は「中添え(なかぞえ)」3回目は「留添え(とめぞえ)」と呼びます。この3回に分けて仕込むことを「三段仕込み」と言います。良く聞きますよね!それぞれ加える量やタイミングが異なります。お手伝いした作業工程は留添えで、麹米・蒸し米・水を加えていきます。櫂(かい)と呼ばれる道具で、樽の中を混ぜていきます。
午前中に原材料を投入した段階では、サラサラしてかきまぜやすかった醪(もろみ)も、たった数時間でだんだん発酵が進みドロドロになってきます。発酵の泡がたち、樽に耳を当てるとゴボゴボと大きな音が聞こえ、ひんやり冷たい樽の中で酵母が生きているんだなぁと感じました。
この段階になると櫂を入れて混ぜるのもかなりの重労働です。
日本酒づくりの作業として関わらせていただいたのは、ここまででした。これからこの樽の中で発酵がすすみます。均一に発酵がすすむよう、職人さんたちが定期的に櫂でかきまぜておられます。発酵が終わった醪を、液体(お酒)と固体(酒粕)に分離させ、液体内のにごりを取り除いたり濾過したりして透き通った日本酒になります。種類によっては、お酒の変質を防ぐために「火入れ」をして加熱殺菌するお酒と、そうでないお酒があります。他の樽でつくった同種類のお酒とブレンドするなどして味を整えた後、瓶詰めし出荷されます。
午後からは、その瓶詰めの作業もお手伝いさせていただきました。
その他にも、樽の掃除や酒粕の袋づめなどもお手伝いさせていただきました。
日本酒づくりの工程に携わらせていただいた中で、私たちの普段飲んでいる日本酒が、どれだけの人と手間をかけてつくられているのかを知り、日本酒づくりの壮大さに驚きっぱなしでした。衰退化しているという日本酒業界。日本で昔から伝わってきた技術やものづくりへのこだわりや姿勢は、これからもたくさんの人に愛され、守られていくべきものなんだと心から感じました。日本酒だけでなく、同じように昔から培われてきた文化や伝統が、日本にはたくさんあると思います。そこに関心をむけることは、きっかけがなければできないことがほとんどだと思いますが、実際に体験し、触れてみることで、大切さや貴重さに気づかされます。
今回参加した20歳の学生・しげちゃんは、実家がお米づくりをしている農家さんでした。
「今まで、田植えや稲刈りは何度もしたことがあって、お米のことは全部わかっている気でいたけど、日本酒づくりにおいてのお米のすごさとか、どうやってつくられているのかとか何も知らなかったんだなぁと感じました。ほんとうにいい経験になりました。楽しかったです!」
と言ってくれました。ありがとう!ぜひぜひこれからも日本酒づくりに関わっていってほしいなぁ。
ユメニストのうえっちさん自身も、日本酒づくりに参加するのは初めてでした。日本酒大好きなうえっちさんだけあって、酒蔵でする全ての作業が新鮮で、常に嬉しそうにお酒をつくっていました。
やはり生でみる酒蔵や、日本酒づくりの工程は規模が大きく、リアルな壮大さや香りまでお届けできないのがほんとうに残念です!あなたのお家の近くで、酒蔵見学や日本酒づくりに参加できる機会があったら、ぜひぜひ参加してみてください!「人の手で丁寧につくる。」という職人さんたちの、仕事への情熱がすべての工程にしっかりと刻みこまれており、心から感動しました。
しっかりお手伝いさせていただいたあと、空いっぱいの星が輝く伊根町で、向井酒造のみなさまと海の幸を満喫しました。
杜氏の久仁子さんは12月初旬にお子さんが生まれる予定!酒蔵でかくれんぼをする姿が今からイメージできます。こんなに自然豊かな素晴らしい場所・酒蔵で育つ子は、きっと日本の伝統とも言える文化を大切に思える子なのではないかなぁと感じました。
このような素晴らしいユメの応援のきっかけをくださったユメニスト・うえっちさんと、日本酒づくり企画の関係者のみなさま、ほんとうにありがとうございました!ユメコラボでは、これからもうえっちさんの「若者に日本酒のほんとのうまさを伝えたい!」というユメを応援していきます。今後もぜひぜひご注目ください!